「自然素材」の魅力~その4~(米のり)2025年4月30日(水)
住まいづくりの素材として、いま改めて注目されているのが「自然素材」。
無垢材や珪藻土、和紙など、からだにやさしく、心地よさをもたらしてくれる素材たちは、日々の暮らしにほっとする安心感を与えてくれます。
その中でも、あまり知られていないけれど、昔から日本の家づくりを支えてきた接着剤があるのをご存じですか?
それが「米のり」です。
お米から作られる、まっ白でとろりとしたこののりは、化学物質を含まず、環境にも人にもやさしい天然の接着剤。
今回は、この米のりの魅力と作り方、そして強さの秘密についてご紹介します。
◆ 米のりとは? - 日本の伝統が生んだ自然素材
米のりは、その名の通り“お米”を原料とした接着剤。古くから日本の木工や建築、和紙貼り、襖張りなどで使われてきました。原料は、家庭にもある「うるち米」や「もち米」。これを炊いて、水とともにすり潰し、ゆっくりと熱を加えながら練ることで、とろみのあるのりが出来上がります。
この米のりは、揮発性の有害物質(VOC)を一切含まず、アレルギーやシックハウスの心配もありません。
赤ちゃんやペットのいるご家庭でも安心して使えるのが大きな魅力です。
◆ 米のりの作り方 - やさしい手間が、やさしい住まいをつくる
米のりの作り方はとてもシンプル。
✅ 材料(基本の分量)
うるち米:30g(大さじ2程度)
水:300ml~400ml
✅ 作り方
①米を柔らかく炊き、水を加えてすり潰す(ミキサーでもOK)
②とろみが出るまで弱火で煮詰める(焦がさないように注意)
③ツヤが出て、少し粘りが増したら完成!
保存は冷蔵庫で2~3日程度。天然素材なので早めに使い切るのがポイントです。
◆ 米のりの歴史 - 千年を超えて受け継がれる、やさしさの知恵
米のりの歴史はとても古く、奈良時代の文献にも登場します。
法隆寺や薬師寺といった日本の伝統建築では、木材の接着に米のりが使われ、何百年という年月を経ても美しい姿を保っているのです。
漆器や障子張りなど、江戸時代の職人たちも米のりを重宝してきました。
「自然のもので、人の手でつくる」この営みが、時代を超えて住まいの文化を支えてきたのです。
◆ 米のりって本当に強いの? - 実験からわかる意外な強度
「天然素材なのは魅力だけど、木材をくっつける接着力としてはどうなの?」そんな疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、「米のりの接着強度」については、国内の研究機関や大学でも検証されています。
国産木材+米のりでの接着実験(森林総合研究所)
森林総合研究所の報告によると、スギやヒノキを米のりで接着し、せん断強度(引き裂きの強さ)を測定した結果、合成接着剤に近い強度が確認されました。
適切な加熱乾燥・圧着を施せば、家具や内装材に十分な耐久性を与え、時間が経つとむしろ安定性が増すという評価も。
つまり、しっかりと使えば「現代の住宅建築にも通用する接着剤」であることが証明されています。
歴史が証明する耐久性
奈良・法隆寺の修復工事などでも、化学接着剤ではなく、米のりやにかわが使われているのは、その呼吸性・持続性に信頼があるからです。
「木材も接着剤も、呼吸する素材であること」が、日本建築の基本なのです。
自然素材の住まいは、見た目の美しさだけでなく、空気の質や肌触り、香りまで、五感にやさしく響きます。
そのなかでも「米のり」は、目立たないけれど大切な“つなぎ役”。
木と木、人と自然、過去と未来をやわらかくつなぐ、そんな役割を果たしてくれます。
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